鳥取市の歯医者・歯科医院

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前回は、食事や間食の回数が増えたり、長い時間お口の中に食べ物が存在することによって、歯の表面が脱灰される時間が長くなることにより、むし歯になりやすくなり、逆に、間食の回数を減らす、だらだらと間食をとらない、食べた後に食べかすが残らないようにする、といったことに気をつけることで、むし歯のリスクを低くすることができることを説明しました。

 

今回は、唾液がむし歯のなりやすさにどのように影響しているかを説明しようと思います。

これまでに説明したように、歯の表面では、むし歯菌がいて糖分が供給されると、むし歯菌は糖分から酸を産生し、この酸により、歯の中のカルシウムやリンなどのミネラル分が歯から溶け出す“脱灰”を引き起こし、糖分の供給がなくなると、溶け出したミネラル分が歯に取り込まれる“再石灰化”を生じます。これらの現象はお口の中で起きていることであり、この現象が起きている歯の周りには、常に唾液が存在し、その唾液の影響を少なからず受けています。

 

むし歯の成り立ちやむし歯の予防において、唾液が与えている影響の一つには、ミネラルの供給源ということが挙げられます。唾液にはカルシウムやリンなどのミネラルが含まれているので、歯の表面のpHが中性に近い時には、唾液がカルシウムやリンなどのミネラルを供給して再石灰化が生じます。

唾液の2つ目の作用として、浄化作用があります。特にサラサラの唾液は、歯の表面にある糖分や酸を洗い流して、浄化させる作用があります。

3つ目は、緩衝作用。唾液には、むし歯菌が作った酸の力を弱める作用があり、これを緩衝作用と言います。緩衝作用は、唾液の中の、重炭酸塩、リン酸塩、タンパク質などによるもので、中でも、重炭酸塩が主な役割を果たします。

全身的な病気や、薬の副作用、加齢などにより、唾液の分泌量が少なくなると、浄化作用や緩衝作用が上手く働かなくなるので、むし歯になりやすくなります。

唾液の分泌量を増やすためには、よく咬むことが大切です。食事の時は、水やお茶などの水分で流し込んで食べないようにし、よく咬んで食べることで、唾液の分泌量を増やすとともに、成長期の子供にとっては、よく咬むことが、歯並びや、お口の機能の発育、さらには、顔面の発育にも良い影響を与えますので、よく咬むことは、とても大切なことと言えます。

また、寝ている間は、唾液の分泌量が少なく、お口の動きも少なくなるので、糖分や酸が歯の表面に長時間とどまりやすい状態になります。したがって、夜寝る前に、間食をして、歯を磨かないで寝てしまうと、むし歯になるリスクは非常に高くなってしまいます。

 

今回は、むし歯の成り立ちやむし歯予防において、唾液が与える影響について、唾液の“ミネラルの供給源としての働き”、“浄化作用”、“緩衝作用”について、ご説明しました。

監修歯科医師

緑ヶ丘歯科クリニック

院長 田中秀司

 

【所属学会】

 日本補綴歯科学会

 日本ヘルスケア歯科学会

 

【経歴】

1969年2月1日 鳥取県鳥取市生まれ

1993年 広島大学歯学部 卒業

1993~1995年 広島大学歯学部附属病院 研修医

1995~1998年 広島大学大学院

1998~2000年 ペンシルバニア大学医学部 学位取得後 研究員

2000~2001年 広島大学歯学部附属病院 医員

2001~2005年 広島県呉共済病院 歯科 勤務

2005年 緑ヶ丘歯科クリニック 開院