むし歯について4(むし歯の成り立ち、脱灰と再石灰化について)

前回は、歯の表面で起きている、“脱灰”と“再石灰化”について説明しましたが、今回は、もう少し詳しく説明しようと思います。

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前回、“脱灰”はミネラルの“溶け出し”、“再石灰化”はミネラルの“回復”であり、そのバランスにより、脱灰(溶け出し)が多くなるとむし歯になり、再石灰化(回復)が多いとむし歯にはならない、というお話をしました。

 

では、どのような時に脱灰(溶け出し)が起きて、どのような時に再石灰化(回復)が生じているのでしょうか?

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これまで説明しているように、歯の表面にむし歯菌がいて、糖分が存在すると、むし歯菌は糖分から酸を産生して、歯の中のカルシウムやリンなどのミネラル分が歯から溶け出す“脱灰”を引き起こします。

逆に言えば、“むし歯菌”と“糖分”が無ければ、“脱灰”は起こりません。

“むし歯菌”は、歯磨きにより少なくすることはできますが、完全に無くすことは難しいので、基本的に、常に歯の表面にいます。

一方、“糖分”は、食べ物によって供給されるもので、食べることにより歯の表面の“糖分”の量は増加し、食べ物がお口の中から無くなれば、供給される“糖分”の量は減少します。

つまり、食べた直後は、“むし歯菌”と“糖分”の条件が揃っていて、“脱灰”の最盛期の時間帯と言えます。逆に、食べていない時は、“むし歯菌”はいますが、“糖分”は無いので、“脱灰”は起こらない(起きていてもわずか)ということになります。

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むし歯菌がいて、糖分が存在すると、むし歯菌は糖分から酸を産生するので、歯の表面のpH(酸性度)は極端に酸性になります。

食べ物を食べた後の、歯の表面のpHの変化をグラフにすると、図のようになります。

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ステファンカーブ

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通常の状態では、歯の表面は中性のpH7ですが、食べた直後には急速に酸性になります。歯の表面が一定のpHより酸性になると脱灰が始まるという境界のpHを臨界pHといい、一般にはpH5.5から5.7で、図の紫色の帯の部分が臨界pHになります。食べ物を食べた後は、この臨界pHを越えてpHが下がり、臨界pHを越えて酸性になっている間は脱灰が続いていることになります。この状態はいつまでも続くのではなく、歯の周りには唾液が存在し、唾液が酸を洗い流したり、唾液の酸を弱める作用により、時間とともに歯の表面のpHは元の中性に戻っていきます。臨界pHを越えて中性寄りになっている間は、歯の表面では再石灰化が行なわれ、脱灰された部分が修復されます。完全にもとの中性の状態に戻るのには、食べた後から40分かかると言われています。

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このように、食べ物を食べることによって、歯の表面は酸性になって脱灰が生じ、その後、唾液の作用により中性に戻って再石灰化が起こります。食事のたびに、この脱灰と再石灰化が繰り返されています。

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前回も説明したように、この“脱灰”と“再石灰化”のバランスによってむし歯になるかならないか(なりやすいかなりにくいか)が決まります。つまり“脱灰”が“再石灰化”よりも多くなるとむし歯になり、“再石灰化”が多いとむし歯にはならないということです。

次回は、“脱灰”と“再石灰化”のバランスについて説明ようと思います。

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