前回は、ミュータンス菌の感染について、また、子供のむし歯予防についても少し説明しました。
今回はむし歯の予防について、少し詳しく説明します。
これまで、むし歯がどのようにできるのかを詳しく説明してきました。
簡単に言うと、お口の中にミュータンス菌が感染していると、ミュータンス菌は食べ物や飲み物の中の糖分や炭水化物から酸を産生し、その酸によって歯が溶かされて穴が開くのがむし歯です。
最も簡単にむし歯予防を考えるとしたら、このむし歯ができる流れを、どこかで食い止めることができれば、むし歯にはなりにくくなると思われます。
例えば、ミュータンス菌の感染を防ぐことができれば、糖分や炭水化物があっても、酸は作られにくいことになりますし、歯磨きをしっかり行って、ミュータンス菌の数を減らしたり、歯の表面に残っている糖分や炭水化物を取り除けば、やはり、作られる酸は少なくなります。
また、間食の回数や時間を減らすことでも、糖分や炭水化物の供給を減らすことができます。
さらに、フッ素を使用することで歯を強くすると、酸に対する抵抗力が上がり、むし歯になりにくくなります。
このように、むし歯になる流れのどこかを止めることによって、むし歯を予防することができますが、むし歯の予防を考える時には、その人がどれくらいむし歯になるリスクが高いのかを考えることによって、より効果的なむし歯予防の方法を選択することができるようになります。
むし歯になるリスクに関係のあることには、以下のようなことがあります。
〇現在むし歯があるか
今現在むし歯がある方は、すでにむし歯リスクは高いといえます。
〇過去3年間にむし歯治療の経験があるか
治療が完了していたとしても、過去3年以内にむし歯があった方は
むし歯リスクは高いです。
〇奥歯の咬み合わせの溝の深さ
深いとむし歯リスクは高いです。
〇タバコ、お酒、医薬品以外の薬物の使用
リスクファクターになります。
〇唾液の分泌量
少ないとむし歯リスクは高くなります
〇歯ぐきが下がって歯の根が露出していないか
歯の根の部分が露出しているところはむし歯になりやすいです。
〇お口の中に何らかの装置をはめているか
矯正の装置など、お口の中にはめる装置はむし歯リスクを高くします。
〇フッ素の使用状況
フッ素の使用はむし歯リスクを低くします。
〇クロルヘキシジンの使用
クロルヘキシジンでうがいをすると、むし歯リスクを低くします。
〇キシリトールの摂取
キシリトールの摂取はむし歯リスクを低くします。
このようなことがむし歯になるリスクに関係しています。
これらは、6歳以上の人についてのむし歯リスクに関係する事柄であり、6歳未満の幼児については、また別の事柄を考慮する必要がありますので、次回は幼児についてのむし歯リスクのこと、さらには、今回挙げた事柄についての詳しい説明をしていこうと思います。