むし歯について8(むし歯の成り立ち、むし歯菌の感染)

前回は、むし歯の原因菌である“ミュータンス菌”は、“感染”するものであり、感染してしまうとむし歯になりやすくなること、幼児期に感染しやすい時期があること、について説明しました。

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今回はミュータンス菌の感染について、もう少し詳しく説明します。

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ミュータンス菌は、全ての人のお口の中に存在するのではなく、感染している人と感染していない人がいることを、前回説明しましたが、では、感染している人は、どこから感染するのでしょうか?

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答えは、お母さん、お父さんなどの、主たる養育者であると考えられています。

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子供のミュータンス菌の遺伝子型を調べた研究によると、ミュータンス菌に感染している子供のうち、母親由来のミュータンス菌を持っている子供が約5割、父親由来が約3割、その他が約2割だそうです。

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また、下のグラフは、お母さんのお口の中のミュータンス菌の数とミュータンス菌に感染している子供の割合の関係を示したグラフです。

ミュータンス菌の感染割合2

 

お母さんのお口の中のミュータンス菌の数が少ないと、そのお母さんの子供にミュータンス菌が感染する割合は低いのに対し、お母さんのお口の中にミュータンス菌が多いと、そのお母さんの子供には、高い割合でミュータンス菌が感染しているのが分かります。

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したがって、子供のむし歯予防について考えるときに、ミュータンス菌に感染すると、むし歯になりやすくなるので、いかにミュータンス菌に感染させないようにするかを考えることが大切で、そのためには、お母さんのお口の中のミュータンス菌の数を減らすことが重要と言えます。

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また、ミュータンス菌が感染しやすくなることとして、お母さんと同じ箸や同じスプーンを使う、お母さんの口の中に入れた食べ物を子供に与える、子供のお口にチューをすること、などが挙げられます。こうしたことを徹底して避けるようにすれば、ミュータンス菌は感染しにくくなりますが、あまり神経質になると、育児がつまらなくなりますし、子供とのスキンシップも制限されてしまいますので、がんばり過ぎなくても良いと思います。

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また、お母さんのお口の中にむし歯があると、子供もむし歯になりやすいとも言われていますので、子供のむし歯予防の第一歩として、お母さんがむし歯の治療を済ませておくことも大切です。

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今回は、ミュータンス菌の感染について、また、子供のむし歯予防についても少し説明しました。

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次回から、むし歯の予防について、もう少し詳しく説明しようと思います

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