このようなお話を耳にされたことがありますか?
多くの女性が妊娠・出産を経験されますが、赤ちゃんというかけがえのない宝物を授かると同時に、ご自身の歯の健康を犠牲にされる方がいらっしゃるのは、とても残念なことです。
でも、本当は、赤ちゃんはお母さんの歯のカルシウムを奪ったりしませんし、赤ちゃんを産むたびに歯を失わないといけないわけではありません。
ただ、妊娠から出産までの期間に歯を悪くしてしまう方がいらっしゃるのは事実のようです。
それはどうしてかというと、
○妊娠するとホルモンのバランスが変わり、唾液が粘っこくなって酸性度が高まり、むし歯になりやすくなる。
○つわりや体調の変化で歯磨きがきちんとできない。
○食事回数の増加や食事の時間が不規則になり、お口の中が汚れやすくなる。
こういったことで、歯を悪くしてしまう方がいらっしゃるようです。
また、妊娠中のお口の健康は、安産とも大きく関係しているだけではなく、これから生まれてくる赤ちゃんのむし歯予防にも大きく関係してます。
そこで、緑ヶ丘歯科クリニックでは、妊婦さんと赤ちゃんの歯の健康をサポートするため、妊婦さんのお口のケアを積極的にお勧めしています。
妊娠中は歯の治療ができないと思われている方もいらっしゃるようですが、そんなことはありません。積極的にお口の健康を守っていきましょう。
こんな症状ありますか?
妊娠すると、ホルモンバランスの変化により、歯ぐきの炎症が悪化して、歯ぐきから出血したり、口臭が強くなったり、歯ぐきがはれたりすることがあります。
このような歯ぐきの炎症は歯周病と呼ばれています。
歯周病のある妊婦さんは、早産や低体重児出産のリスクが、歯周病のない妊婦さんに比べて約7倍も多いという報告もあります。
逆に、歯周病のある妊婦さんでも、歯科医院でのお口のケアを受けて、出産まで毎日適切なブラッシングと抗菌剤でのうがいを行うと、何もしない方に比べて、早産や低体重児出産のリスクを68%減らすという報告もあります。
妊娠中はつわりなどにより、お口のお手入れが不十分になりがちです。歯科医院で適切なクリーニングを受けることは、ご自身の歯ぐきの健康を守るために重要なだけでなく、早産や低体重児出産のリスクを低くするためにも、とても重要なのです。
赤ちゃんが生まれて歯が生えてきたら、赤ちゃんの歯がむし歯にならないように気をつける方は多いと思いますが、実は、生まれる前の今から、お母さんのお口のむし歯を予防することが、将来のお子様のむし歯の予防に大きく関係しています。
これを、マイナス1歳からのむし歯予防と表現しています。
むし歯の原因になる酸を作るばい菌はむし歯菌(ミュータンス菌)です。お口の中にこのむし歯菌を持っていると、むし歯になりやすくなります。
生まれたばかりの赤ちゃんには、このむし歯菌はいません。でも、歯が生えそろう頃までに、このむし歯菌を持っているお子様が出てきます。
どこからむし歯菌はやってくるのでしょうか?
実は、ほとんどの場合、お母さんのお口の中からお子様へうつしてしまっているのです。
むし歯菌は唾液によって感染します。お母さんが噛んだものを与えたり、お母さんが口にしたスプーンによってうつるのです。そしてうつってしまうと、むし歯になるリスクは高くなってしまいます。
うつさないようにするためには、
口移しはしない、食器を分ける、
などの注意が必要ですが、完璧にこれらの事を守ることはかなり難しいです。
では、どうすればいいの?
○お母さんのむし歯を治療しておくこと、
○歯磨きを丁寧に行うこと、
○歯のクリーニングを受けること、
などにより、お母さんのお口からむし歯菌がうつりにくいようにすることが重要です。
大切な赤ちゃんにむし歯のない健康なお口をプレゼントするために、お母さんの健康なお口づくりをしましょう。
Q1:妊娠していても歯の治療はできますか?
妊娠中でも治療できます。
治療の時期は、安定期(5~8か月)が最適ですが、体への負担の少ない治療なら安定期でなくても可能です。また、痛みのある場合など、必要であれば、どの時期でも処置を受けましょう。
生まれてからの方が大変で、歯の治療を受ける余裕がなくなる方が多いようです。できる治療は、妊娠中に済ませておきましょう。
Q2:レントゲンは赤ちゃんに影響ありますか?
ご心配はいりません。
基本的に、歯のレントゲンはお腹にはあたりませんし、防護のためのエプロンをしますので、赤ちゃんへの影響はまずありません。
Q3:麻酔の影響はありますか?
ご心配はいりません。
麻酔は局所麻酔で量も少ないので、赤ちゃんへの影響を心配される必要はありません。むしろ、麻酔を使用しないで痛みを我慢する方が、お腹には悪影響です。
Q4:お薬は飲んでも大丈夫でしょうか?
必要に応じて、おなかの赤ちゃんに影響の少ないお薬を処方します。
お薬を飲まないと、痛みや化膿など赤ちゃんに悪影響を与える可能性がある場合は、おなかの赤ちゃんに影響の少ないお薬を選んで処方します。我慢しないで、必要なときはお薬を飲んでください。